frm AtoZ
fj.rec.models の FAQ (本編)
[Decal]の章 (最終更新:1997/10)
Q:デカールを上手に貼るには?
曲面や、スジボリのある面にデカールを密着させるときには、
デカール軟化剤を使うといいかもしれません。
グンゼのマークソフターや、モデラーズのものなどが手に入ると思います。
デカールを目的の位置に貼ったあとデカール軟化剤を塗って
綿棒などで軟らかくなったデカールを密着させます。
蒸しタオルを使ってデカールを軟らかくすることもあります。
カルトグラフとかの堅いデカールにはソフターと蒸しタオルと
両方使ったりします。
デカールの強さ(?)にはいろいろあって、
柔軟剤(軟化剤)にもいろいろあって、
あったものでないと「柔軟」とかいうのを越えてしまうことがあります。;-)
Q:このクリアってやつはデカールを貼ったあとに吹いていいの?
田宮の模型の説明書には、「スライドマークを貼った後にクリアスプレーを
吹くとマークを痛めることがあります。」って書いてあるけど、これじゃ、
クリアの目的であるデカールとの段差をなくすとか言うのが矛盾するような
気がするんですが、あくまで原則??
トップコートやスーパークリアなら大丈夫??
たとえばどこのメーカーのやつだと駄目とか??
(a)
「スライドマークを貼った後にクリアスプレーを吹くとマークを痛めることが
あります。」これは本当です。 まだ、タミヤのとかはデカールの質がいいの
で 安心なんですが、輸入プラモとか、「銀色」のデカールとかは クリアに負
けることがあります。
それはクリア塗料の溶剤と、デカールに含まれる水分とが「悪さ」して、
デカール本体に「ヒビ」が入ったりするからです。
実際に、多少ではあっても デカールは溶剤に侵されてしまいます。そのとき
デカール中に水分が含まれていると、溶剤が揮発していく途中で「ムラ」が
できることになり、ヒビになる そうです。
てなわけで、デカールの上にクリアを吹くには デカールを貼ってから十分乾燥
させきる(1週間ぐらいは 必ず)こと、それと 最初の1〜2回に吹き付けるク
リアの量を ごく薄くして、デカールに直接触れて 溶剤を染み込ませることにな
るクリア層を薄くしてやります。
トップコートは「水性」で溶剤が弱いので比較的大丈夫のようです(もちろん、
十分な乾燥が必要です)。
逆にスーパークリアはデカールとの相性という点ではシビアで、デカールの乾燥
は念入りに行う必要があります。
それでも、クリア膜の硬質感からいうと スーパークリアをお勧めします。
(b)
デカールを侵すと一口に言いましても、その原因は大別して2つあります。
1: デカール自体に基因
2: デカールの貼り方に基因
まず1ですが、メーカーによっては非常に弱いデカールを使用しています。
私が経験した最悪のものは今はなき Rosso のデカールで、非常に薄く、すぐ丸
まってしまうため、とてもマトモには貼れないほどのシロモノでした。上からク
リアはとても試す気にはなれませんでした。
次はハセガワのデカールです。ここのデカールは硬く、糊も弱く、マークソフ
ターを使えばすぐ皺がよってしまう難物です。伝聞情報ですが、クリアがけすれ
ば皺やひび割れが発生しやすいようです。ハセガワが最近カーモデルにカルトグ
ラフ製デカールをよく採用するのはこの批判に対するものかもしれません。:-p
さてそのカルトグラフ製デカールですが、厚くて非常に丈夫です。ちゃんと貼
れていれば、上からラッカー成分の強い実車用のソフト99クリアを吹いても表
面が侵されるようなことはありません。
その他のメーカのデカールは、きちんと貼っていればクリアをかけても問題な
いと思われますが、同一メーカでもキットによってデカールの質が違うことがあ
りますので、このメーカのデカールなら大丈夫!という過信は持たない方がよい
でしょう。
次に2ですが、問題の半分以上はこちらが原因となります。
それは「ちゃんと貼れていない」からです。
さて、デカールの上からクリアを吹いた場合、どのような失敗が考えられるか
といえば、
(1) 皺になる
これはクリアのラッカー成分がデカールを侵してしまったのでしょう。
弱いデカールによく起こります。またちゃんと貼れていずに少し浮いて
いても起こる場合があります。
(2) ひび割れが発生する
これは上記(a)と同じくデカールが弱いということも考えられますが、
デカールがちゃんと乾燥いなくて水分が残っているために発生すると
いう方が多いようです。(a)さんの説明を参照。(と、逃げる)
(3) 溶ける
角の部分などにデカールの端がきた場合、ちゃんと貼れていないとデカ
ールの端が多少剥がれたような状態になります。そこにクリアを吹きま
すと、デカールの裏面にもシンナーが回り込み一発でデカールを侵し、
へなへなとなって溶けたようになります。
\ \ \
\ | この状態でクリアがけ \ \ <- こんなふうに
本 | | --> すると | /\ デカールが
体 | |<- デカール --> | | | ”へなっ”と
| | --> | | | なる
(4) 浮き上がる
凹部分をまたがってデカールを貼る場合、どうしてもへこんだ部分での
密着が不足します。この状態でクリアを吹けば、クリアの乾燥とともに
張力で凹部分のデカールがはがれて浮き上がってきてしまいます。
| | "*"部分の貼りが甘いと | | |
| |<-デカール --> | | | こんなふうに
| | --> | \ +-- うきあがって
|*+---- --> | ---- きてしまう
+------- +-------
本体
(1) - (4) は全て経験してます。(^^;)
(5) 染み出す
蛍光色のデカールなどの一部で起こることがあるようです。これは
私は確認しておりません。
さて長い前フリでしたが、以上をふまえた上で、デカールの上からクリアを
吹く時の注意点を挙げましょう。
1) まず実際にデカールを貼る前に、余分なデカール(メーカーロゴとか)
だけを切り取って、それをプラ板に貼り、クリアを吹いてみましょう。
皺とかヒビが発生しなければそのデカールの上にそのクリアをかけて
も大丈夫です。駄目になっちゃったら別のクリアにするか、あきらめ
ましょう。(^^;)
注) ここでクリアの選択についてですが、デカールの表面の侵しやすさ
ですが、独断と偏見で判断してしまうと
タミヤアクリル(瓶)< モデラーズ < タミヤ缶 < グンゼ缶 < ソフト99
トップコート グンゼ瓶
というふうに右ほど危険です。ただし右ほど塗膜は強力になるので、
どれを使うかは各人の判断に委ねます。これ以外にウレタンクリア
というのもあるのですが、これは高い上に人体に危険(^^;)なので
相当の覚悟を決めている方以外にはお勧めしません。かくいう私も
使ったことが無い。(^^)
2) さてデカールを貼る際にも注意が必要です。まず塗装表面が波だって
いるようではいけません。極力平滑な表面にしておきましょう。#1500
で軽く磨くとかでいいでしょう。デカールを貼った上からクリアがけ
をする場合は下の塗装は艶有りにしておいた方がデカールが密着しや
すいと思います。どうせ上から艶は整えるんだし。色ムラだけ気をつ
けておきます。
デカールを貼る際に便利な道具をご紹介しますと、
2-1 綿棒(必須)
安いのでケチらないように
2-2 楊枝
これくらいあるでしょう。
2-3 マークソフター
これはデカールを柔らかくするもの。グンゼとモデラーズのもの
があるが、モデラーズのものはちょっと強過ぎます。
無くても蒸しタオル(がなきゃボロ布にちょいとポットの湯をつける)
である程度代用可。またはドライヤーで熱風を吹き付ける。(^^;)
2-4 プロホビーのスライドマークセメント
実はこれが個人的には1オシだったりするんですが、ちと有名な模型
屋とかにしか置いてないようなのでそれが欠点。文字通りデカール用
の糊。これが出る前は木製ボンドを水で薄めて使ってたそうな。
2-5 ピンセット
救急セットの中の先細のでいいです。
これらを駆使して徹底的に密着させて下さい。(^^;)
凹部分では一旦切れ込みを入れてから分割して貼るほうがちゃんと貼れま
す。
3) よく乾燥させます。1週間はみておいて下さい。乾燥したら表面の糊や埃
をとるために、ウエットティッシュで軽く拭くか、水洗いをします。
この時にデカールが剥がれるようではイケマセン。なお水洗いをする場合
は流水でやんないように。剥がれたデカールが流れていったら泣きます
(これも経験済)。洗面器で荒うか、下に網ザルを敷いておくように。
4) 当然また乾燥させる。(^^) 1週間以上。
5) さていよいよ塗装ですが、普通に塗る以上に丁寧にやって下さい。
最初は様子を見るように、かなり遠くから全体に軽ーーく吹きます。
小休止の後、少し近くからまた軽ーーく。全体に膜ができたら手早く
しゅばばっと吹いてフィニッシュして下さい。決して焦らないように。
6) これで終わりですが、デカールの段差を気にする方は、ちょいと厚めに塗
ってから「研ぎ出し」と呼ばれる方法で磨きを入れます。艶を出す方はこ
こで コンパウンドがけ。艶消しの方は磨いた後でフラットクリア吹きでよ
いでしょう。
(c)
ハセガワのデカール、私の経験はちょっと違う気がする。当然、私もマークソフタ
ー使うわけだけど、クリアがけして皺やひび割れが発生したという経験はないし。
実際、ハセガワのデカールって何処のデカールなんでしょ?
日本でデカール作ってる会社ってせいぜい数社だと思うけど。
イマイのTBシリーズのデカールでは実際そうとう危険な目にあった覚えがある。
クリア吹いた瞬間ワカメと化したけど、放っておいたら奇麗に伸びて貼り付いた。
なんでやねん。
デカール貼ってから1週間は完全乾燥ってのも、やったことがない。 実際、デカ
ール貼って1時間くらいでクリア吹きなんてことも平然とやるけど、これで失敗
したと言うこともマズない。
完全乾燥する前にシンナーで痛め付けるとよく馴染むよ〜。(って半分ホントの話)
Q:レーザープリンタやコピー機などを使って、デカールを自作してみたい
のですが、やりかたを教えていただけませんか?
原材料になるデカールとしては、ハセガワのクリアデカールも
しくは Super Decal などの洋モノを準備します。
印刷機の方は、レーザープリンタ (別に PS が出るとか、A3 が
打てるとかは必要ない) もしくは、普通紙コピー機が必要で、
その際に「ストレートパス」と呼ばれる、紙の搬送系がクネクネ
まがらないものを持っているものが良いでしょう。最近のコピー
機は場所を取らないように、給紙部分が内蔵されていて、紙の
弾性を利用してとんでもない経路で印刷されるものが多く、こう
いうモンだとてきめんにジャムります。
「はがき印刷」とか「手差し給紙」というオプションがこの
「ストレートパス」にあたり、新たにお店でレーザープリンタを
購入するのであれば、「官製ハガキに印刷できますか?」と確認
した方が良いでしょう。
後は、トナー定着用の温度なんですが、基本的にゼログラフィー
(レーザープリンタの印刷原理) では、厚い紙ほど温度を高く設
定する必要があります。で、機械によっては「はがき印刷」の
ためにヒータを高温にする機能があったりするのですが、デカー
ル印刷の場合にはこれもよしあしで、低温の方が結果が旨く行く
ものも多いでしょう。この辺はクリアデカールの材質とも絡むの
である程度の try and error が必要です。
後は、普通に印刷するだけなんですが、あまりに小さいクリアデ
カールに印刷しようとすると、ジャムでもないのにエラーになっ
たりする (一定時間はセンサーの上に紙がないとジャムだと誤解
するから) んで、最初ははがき大くらいを最小と思った方が良い
でしょう。
# カラー印刷の話しは又別の機会に...
しまった、クリアデカール自身の説明も必要だったかな?
「透明 (クリア) デカール」なるものは「水につけて貼れる」デカール
そのものです。ただ、なーんにも印刷されていないので、プラ用の塗料
みたいなものでその上に図柄を書いてデカールにして使用するものです。
で、以外とこれがコンピュータ機器と相性がいいんで、自家製デカー
ルに良く使われるようになったのです。ただし、買ったままだと周り
が繋がったままですから、図柄の周りのクリア部分を切り取ることが
必須 (普通のデカールならオプションですよね) になります。
また、スーパデカールだったかどっかからは、クリアデカールの素
が売ってて (正式名称は知らん、少なくとも横浜のラッキーではこれ
で通じたんだもん) これをデカールが乗ってる紙に塗って自分で
クリアデカールを作ることもできます。
後、クリアデカールの用途としては、長期保存すると接着力がなくな
るインレタをまずデカールに貼って、それを模型に貼るというのもあ
ります。この場合、デカール自身が 10 年くらいたつと風邪をひくん
で、結局オジャンになってしまったりという悲劇もありますけど ;-)
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